クリスマスと言えば、おそらく小学生とか幼稚園児でもイエス・キリストの誕生をお祝いする日で、12月25日だと答えることでしょう。
これはもちろんそのとおりです。
そして、少し詳しい人であれば、実は12月25日の1日間ではなく、12月24日の日没から12月25日の日没までの1日間だということを知っているかもしれません。
現代の暦では、1日の始まりは午前0時つまり真夜中ですが、教会で使われていた暦ではそうではなく、日没が1日の終わりでありまた次の日の始まりであったからです。
クリスマスイブという言葉があり、12月24日の夜を指しますが、これは決して前日の夜とか前夜祭などという意味ではなく、まさに当日の夜に当たるわけですから誤解のないようにしなければなりません。
12月25日はイエス・キリストの誕生日?
さて、では12月25日はイエス・キリストの誕生日なんだなと当然のように思っている人は多いのではないでしょうか。
誕生をお祝いする日なのだからイコール誕生日だと考えてしまうのは致し方のないことではあるのですが、実はこれは正しくないと考えられています。
そんな馬鹿なことがあるかと怒る人さえいてもおかしくありませんが、これは別に言葉遊びをしているわけでは決してありません。
実は、イエス・キリストの誕生日が正確にいつであったかを示す根拠というか資料のようなものは存在していません。
存在していないからと言って12月25日でなかったという証拠にはならないだろう。
そして、現に12月25日が誕生を祝う日とされている以上、その事実がまさにその日が誕生日であったと強く推測される何よりの根拠ではないのかと食ってかかる人がいるかもしれませんが、少し落ち着いてください。
聖書が歴史的な意味での資料としてどれだけ価値を持つかは議論の分かれるところかもしれませんが、ここにはイエス・キリストの誕生についても記述ももちろんあります。
その詳細な日付が分かるような記述はないのですが、キリストが誕生したとき、羊飼いたちが夜に屋外で羊の群れの番をしていたという記述があるのです。
聖書を根拠にする以上は見当がつかない
キリストの生誕地は現代のイスラエルのエルサレム近郊にあるベツレヘムとされていますが、ここは確かに緯度的には日本よりも赤道に近いものの地中海性気候であり、冬の夜は普通に十分寒くなります。
冬の夜に屋外で羊飼いが羊の番をするようなことはちょっと考えにくいというのが大きな理由で、12月25日でなかったことはおそらく間違いないだろうとされているわけです。
それならば何月頃と推測されるのかと言っても、特にそれを示すような記述は聖書にはありませんので、聖書を根拠にする以上は見当がつかないとしか言いようがありません。
一般的にこの地方で羊飼いが夜に屋外で番ができるような季節は4月から10月くらいの間だろうと考えられていますが、もちろんこれでは1年の半分もあるわけで、良い推測とは言い難いでしょう。
今から2000年も前の、日本では弥生時代に当たるくらいに昔の話ですから、正確な資料が今後発見されるような可能性は低いと思われ、永遠に謎のままに残されるかもしれません。
なぜ誕生を祝う日が12月25日になったのか?
では実際の誕生日の話はひとまず置くとして、なぜ誕生を祝う日が12月25日になったのかに話を移しましょう。
これについては多くの学者の説がだいたい一致しています。
12月25日は冬至の日に近いですが、古代より、冬至というのは非常に重要なお祭りの日でした。
秋から冬になるにつれて太陽の出ている日中の時間はどんどんと短くなっていきます。
言うまでもなく太陽は人間の生活にとって全く不可欠のものであり、日中の時間がだんだんと短くなっていくということは極めて心細いものだったに違いありません。
ところが冬至を境にしてそれが反転するわけです。
これがお祝い、お祭りでなくて何なのでしょうかということで、冬至は大変に重要な節目の日であったのです。
そこで、キリストの誕生をお祝いする日というか、よりはっきりと直接的な物の言い方をすれば異教徒に対してキリスト教を広めるための日としてこの日が選ばれることになったのだという説です。
キリストの誕生ほどには古くありませんが、おそらく3世紀から4世紀頃には既に12月25日がクリスマスとして祝われていたと考えられていますから、相当に古い歴史を持っていることは間違いありません。
サンタクロースの由来を前田裕幸さんに聞いてみた
なお、クリスマスと言えば欠かせないものとしてサンタクロースがありますが、これは4世紀頃のキリスト教の司祭であった聖ニコラウスに由来するものと考えられています。
セント・ニコラウスがなまってサンタクロースになったという訳です。
時代的には12月25日がクリスマスとして祝われるようになったときと重なっているのかもしれませんが、両者に直接的な関連があるという根拠は特にありません。
ですが、聖ニコラウスは貧しい子供たちに施しを良くしていたという話もあり、これは現代のサンタクロースの姿と重なるものがあるでしょう。
最終更新日 2025年3月18日 by babylo